素晴らしい景色を収めた風景写真。
海、山、川、空などの自然の風景や、建物や道路、街の風景を切り取ったものなど、同じ風景でもカメラマンの技術、感性によって異なる写真となり、私たちの目を楽しませてくれます。
最近はドローンを使った風景写真の撮影も盛んで、特徴的な針葉樹林や、海辺、湖などを真上から見下ろした画像などがトレンドとなっており、ドローン撮影に進出したカメラマンの素晴らしい風景写真に出会う機会も増えてきました。殊に北海道は雄大な大自然が街のすぐ近くに控えているため題材が豊富で、様々な方が取り組まれています。
またこれとは別に、絶景をぐるりと見渡す事が出来る『360度パノラマ画像』という撮影手法があり、弊社で提供するサービスのひとつにもなっています。
今回はその、360度パノラマ画像と通常の画像、さらにドローンを利用して撮影した空中からのパノラマ画像である、360度ドローン空撮パノラマ画像について簡単に解説してみたいと思います。
●360度パノラマ画像とは?
『360度パノラマ画像』は360度すべての方向を1枚の画像に写しこんだもので全天球画像とも呼ばれています。地図でいうところの正距方位図法を用いて書き出した場合、上下方向に180度、左右方向に360度の画像として書き出されます。
これに対し『360度ドローン空撮パノラマ画像』は文字通り、『360度パノラマ画像』をドローンによって空中から撮影したものを指します。
●360度パノラマ画像と通常画像の違い
まず最初に、360度パノラマ画像と通常の画像の違いについて見てみたいと思います。
通常の一眼レフなどで撮影した画像は、人の目線で、ある一定方向を向いた時に見られる風景に近く、横や後ろの風景は写せません。撮影可能な範囲はレンズによって異なりますが、魚眼レンズを除いて、凡そ、上下左右に90度くらいまでが撮影可能です。
下の画像は、360度パノラマ画像と通常画像の画角の違いを例示したものです。
パノラマ画像と通常画像を同列に扱う事はナンセンスとも思いますが、凡そのイメージとしてご覧ください。
通常画像の画角は上下左右、凡そ90度ですので、360度パノラマ画像と比べて左右方向で1/4程度、上下方向は1/2程度の大きさとなります。ただし、通常の画像は横位置だと横:4に対して縦:3で、縦(上下)の角度は67.5度くらいになりますので、ここでもその大きさにしてあります。
写らない部分は大きいですが、見せたい部分に焦点を合わせ、露出や感度、シャッタースピードもバッチリ決める事が出来ますので、それが通常画像の良さでもあるわけです。
逆に、360度パノラマはWEBサイト上のプログラムを介してVRゴーグルなどを利用する事で、あたかもその場に立って風景を見ているかのような感覚を味わえますが、全天球で撮影する分、露出の調整などが非常に難しいのが難点となります。
●360度パノラマ画像とパノラマ画像の違い
『パノラマ画像』は、『360度パノラマ画像』とは異なり、上下の画角90度くらいをぐるっと水平方向に1周して撮影する方法です。身近なところではiPhoneなどのスマートフォンのパノラマ撮影モードで手軽に撮影する事が出来、景色の良い観光地を訪れた際の記念に撮影されている方をよく見かけます。
360度パノラマ画像と通常のパノラマ画像の画角の違いは以下のようになります。
パノラマ画像の画角は上下90度くらいですので、360度パノラマ画像と比べて上下方向の画角が約半分の大きさになります。
ご覧になり、「せっかく撮るなら360度の方が良いのでは?」と考えられる方もいらっしゃるかも知れません。
しかし、360度パノラマ画像は先ほども書いた通り、WEBサイト上のプログラムを介してVRゴーグルなどを利用すれば景色をぐるりと見渡す事が出来ますが、1枚の画像として出力する場合、ご覧のように長方形に引き延ばして表示する事になりますので、どうしても画像の上部と下部に歪みが生じてしまいます。
画像の上下が必要であれば、その通りなのですが、観光の際の記念写真としては、手軽に撮影出来る通常のパノラマ画像は充分に楽しめるものだと言えるように思います。
●360度ドローン空撮パノラマ画像とは?
では、360度パノラマ画像に『ドローン空撮』が付け加えられた『360度ドローン空撮パノラマ画像』はどういったものでしょうか?
360度ドローン空撮パノラマ画像は通常のパノラマ画像とは異なり、「航空法で許可された範囲内で」とはなりますが、ドローンによって撮影するポイントを任意の高さまで上昇させ、足元の風景も含めて撮影することが出来る点が大きな特徴と言えます。
弊社の場合、専用機材によって撮影・編集を行っているのですが、例えば、出来上がりは以下のような画像になります。
撮影場所は札幌のシンボルとも呼べる『手稲山』です。
この画像はサイトに表示するために、解像度:72dpi、サイズ:1,800×900pxに縮小し、さらに容量を2/3程度に圧縮したものですが、弊社で普段納品しているのは、解像度:300dpi、サイズ:14,500×7,250px と、非常に大きな画像サイズですのでポスターなどの媒体でも充分に使用することが出来ます。
また、これだけ高精細の画像ですので、WEBページにおいてプログラムを用いた没入型の表示をさせる際にも、細かい所まで非常に精度の高い画像としての公開が可能ですし、画像の任意の場所を切り抜いてパンフレットやWEBページの挿絵として使用する事も出来るなど、一枚で様々な用途に用いられるのも特徴のひとつです。
●実際の画質は?
縮小などを行わない実際のデータは以下のようになります。上の画像の縮小前のデータから山頂部分を切り取った画像です。
元の画像自体、夕景を撮影したもので暗いのですが、細かい部分の描写力を分かりやすくするために山頂付近の鉄塔のあたりを切り取りました。
この画像では全体のトーンを合わせたために、少し雲の表現が甘かったり、光の反射が出たりしていますが、この辺りはトーンを合わせる前の画像から切り抜くことで対応が可能です。
●WEBプログラムで表示すると?
WEBプログラムで表示すると、以下のように表示する事が出来ます。
画像の右上にあるボタンをクリックすると全画面で表示し、画像上でマウスを左クリックしながら上下左右に動かす事で画像を動かす事が出来、マウスホイールを回す事で画像自体を拡大・縮小する事が出来ます。
スマートフォンでご覧の方は、画像の右上にあるボタンをタップして全画面で表示してみてください。
プログラムが加速度センサーを利用するので、スマートフォンをお好きな方向に向けるだけで画像自体がそちらの方角を見せてくれるようになっています。
足元を上空から撮影しなければならない状況や、撮影した方がより良い状況は沢山あるのではないでしょうか。
このようにドローンで上空から撮影すると、足元、真下まで綺麗に見渡す事が出来、これがドローンで360度パノラマ画像を空撮する醍醐味のひとつと言えると考えています。
●Google ストリートビューで表示すると?
Google ストリートビューで表示すると、以下のように表示する事が出来ます。
WEBプログラムでの表示と同じく、画像上で操作が行えます。
Google ストリートビューの場合、画像容量に制限がありますので、WEBプログラムで表示した場合よりも少し画質が劣る事になります。
けれども、Google ストリートビューに登録する事で、ストリートビュー以外にも、他のgoogleが提供するサービスにおいても表示される機会がありますので、掲載の価値は高いように思います。
弊社は『Google ストリートビュー認定パートナー』ですので、このようにGoogle ストリートビューに表示させ、マーケティングに利用する事が可能です。
●まとめ
いかがでしたでしょうか。
「こちらの撮影方法では得意だけど、こっちは今一つ」とか「この撮影方法なら、より多くの事をカバー出来る」など、撮影方法によって、出来る事、出来ない事、得手不得手がご理解頂けたのではないかと思います。
北海道には風景写真の題材が豊富です。札幌、小樽、旭川、帯広、函館など、街から少し走れば、題材となる観光名所が沢山あります。適材適所で、是非色々な撮影方法を試されてみて下さい。
最後に、ドローンを飛行させる際は、地権者の許可を必ず取得して下さい。
富良野や美瑛などの有名観光地では、航空法が制定される前に無断で撮影を行われた方が多かったため、現在はテレビの撮影でも許可を頂けないような状況になっています。
今後も色々な方がドローン空撮を行えるよう、マナーや常識、良識を持って飛行を行うようにお願いいたします。